<< 毎日新聞<近畿版>朝刊に掲載さ... 「創職人100選」に掲載されました。 >>

僕の町

子どもの頃、自分が心地いいスペースを町のあちこちに持ち、
その点と点を線で結ぶように縦横無尽に駆け回った。
そうやって、自分の居場所を創造し生産する日々に忙しかった。

公園の木によじ登りそこを監視塔にしたり、どぶ川に沿って秘密の道を発見したり、
スーパーの試食コーナーで小腹を満たし、マンションの屋上で星を眺める。
いつだって町は僕のものだった。いや、僕そのものだった。

大人になるにつれて、町と僕がどんどんと切り離されていくのを実感していた。
それは「失う」という感じのものではなく、「隠されている」ようだった。

教育や社会、または常識といった類のものが分厚い目隠しとなり
あっという間に覆い隠されると、見えていた世界が「見えないこと」にされた。
それはもう、あの頃の僕の町ではなかった。

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僕自身ではない町に生きることは、
本当にこの町に生きていると言えるのだろうか。

いまもっとも急務としなければいけないこと、
それは僕の目の前にある目隠しを一枚一枚はぎ取り、
その先にある「僕の町」を取り戻すことだ。
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by machikusa | 2015-06-11 22:40 | 博士の思草
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