奥に見えるのは一般的なとある住宅の庭。そして手前に見えるのは誰にも使われていないスペースである。さて、ここでよく見てもらいたいものがある。まず奥のプランターにきれいに手入れをして育てられている花の色、それから手前に目をやる。そこにはプランターと全く同じ種の花が咲いているではないか。まさに植物の「タネ」はこういう風に運ばれてくるのだ、ということを、お手本のように示している構図である。一方は人様に大事に育てられている花、もう一方はそこからはみ出し、まちくさとしての新たな生をまっとうしようとしている花。